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March 20, 2005

さまよう刃。

 不良少年たちに蹂躙され死体となった娘の為に、父は仲間の一人を殺害し逃亡する。
「遺族による復讐殺人」としてマスコミにもセンセーショナルに取り上げられるが、世間、そして彼を追う警察内部にまで同情と擁護論が涌きはじめる。
 はたして犯人を裁く権利は遺族にあるのか。
法は犯罪を犯した少年と遺族、どちらを守るのか。
少年法と遺族への配慮について、また復讐の是非について正面から問うた問題作。

この小説を読んで思い起こされるのは名優チャールズ・ブロンソンの晩年の代表作狼よさらば (DVD)。この映画シリーズではやがて復讐を遂行するシーンが中心になっていくが、当小説では怒りと苦しみに葛藤する主人公と、同情と理性に葛藤する周囲の心理を描き切っている。

 ただ残念なのは少年法と遺族への配慮についてはそれほど重点が置かれていなかった点だ。
それについての議論や動きはほとんどなかったと言ってもいい。
主人公と周囲の心情に終始しており、結局少年法についての是非を問い切ることはなかった。
結末の後のまとめ方も警察内部の内輪話で終始してしまったのはいささか物足りなさが否めなかった。
法律の前では誰もが無力なのか。

 もし自分が主人公と同じ境遇にあったら...。
考えさせられた一冊である。

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